私感、雑感

 さいごに、私感を交えた細かな事について触れようと思います

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 当方が参加した、盛岡集合〜釜石・大槌・山田での作業ですが、盛岡から被災地までの移動にバスで片道3時間かかります
 そのため、6時集合でも実際活動できるのは10時から、19時解散なので作業終了は16時。昼休みは1時間。参加している時間は13時間に渡りますが、交通や天候の事情によっては実働は4時間に満たなかったりします
 ここに不満を漏らす方が多々いますが(初日は私もそうでした)、これは、岩手県で人を多く集められるのは盛岡駅、その他沿岸を通る路線は全て壊滅的、各人で適度な場所まで車で…となると参加できる人が限られてしまう、交通渋滞で緊急車両の運用が滞ってしまうかもしれない
 というような要素が絡んでの事なので、「日帰りボランティア」としてはどうしようもない部分であると思います
 それを払拭するとなると、この地域で次に選択できるのはいきなりテント泊のハードミッションだったりします
 この辺りは、自身の体力と相談して、慎重にあたる部分だと思います

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 汚泥の撤去ですが、かなり重点的におこなっています
 どこまでがもとあった土かわからないような状態に庭一面にうすく広がった泥を延々とかいて、土のうに入れる/道路脇にうずたかく積もる泥の山を土のうに詰め続けるなどの作業を当てられる事もあるでしょう
 「ユンボとトラックが来れば一発じゃん!」と思い、徒労感を感じるかも知れません。しかしそのトラックもユンボを扱える人も足りていないのです
 そうしている間にも、汚泥からは臭気が出て、乾けば有害なホコリが舞い飛び、雨が降ればまた溶け出してしまいます
 「無為に思えても、ムダな作業は割り当てられる事はない」と考えてください

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 現地では、基本ボランティアセンターを中継して、行動します
 基本5名以上などのグループ行動で、何グループかに数名の現地スタッフが付き添う形をとる事が多いようですので、土地勘がなくともその点は大丈夫です
 ほとんどの場合、独りきりになる事はないですが、どうしても気になる方は方位磁石やGPS機能付き携帯を持っているといいと思います。風景は見渡す限り瓦礫だったりする場所もあり、建物で道程を把握するのが難しかったりするので、方角を知るのが大切かもしれません 
 「auが一番入る/次にdocomo」という現地情報もありました。当方auでしたが、場所によっては入らなかったです。一緒にいた方のau/docomo携帯は3本立ってました(私の機種が古いから?2006年もの/岩手沿岸部はSBはぼ入らない、という現地情報もありました)
 たまに、現地からボランティアセンターに連絡をしなければならない事がありますが(派遣先がわからない・立ち会う予定の住人の方がいらっしゃらない、指示された作業が終わっている/指示の間違い確認 など)これはグループの誰かしらが通じる携帯を持っていればいいことなので、「行くにあたって携帯の機種/キャリア変更!」ってことはないです
 つまり、勝手な単独行動さえしなければ、問題ない部分ではあります。
 しかし、携帯通話は過信しない方がいいかもしれません。


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 ぜんそくなど呼吸疾患、頻尿などの症状を持つ方の汚泥など撤去作業への参加は厳しいと思います
 前者ですが、上記したように被災地は壊れた家屋や乾いた汚泥の粉塵でとてもホコリっぽいです。このホコリは様々な有害なものを含んでいると思われます。そのため呼吸器への負担は少なくはないです
 後者は、被災地にはトイレがありません。「小ならそのへんですれば?」と思われるかもしれませんが、そこここの汚泥を除去していると、思わぬところから写真や位牌が出て来ます(私もなんでもない道路の片隅から貯金通帳を発見しました。同じ班の人はCTスキャンのフィルムを発見していました)
 このように、どこに何があるかわからない状況です。いいかえれば、一般家庭の室内/室外の境目がないような状況です
 そして場合によっては、仮設トイレのあるボランティアセンターと、作業場所が10分以上離れている場合もあるのです(トイレの数もボランティアで入る人数に対してかなり少ないです)

 *以上は、当方が参加した地域での「汚泥など撤去のボランティア」に関する事柄です
 他の地域/職種では状況もだいぶ変わってくるでしょうから、気になる点は応募する前に箇条書きでメモしておくなどして、予約の際にきちんと聞いておくのが良いかと思います


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 遠方から参加する場合、現地入りした時点で大規模な余震があった場合、数日交通機関がマヒし、しばらく帰れなくなる可能性がないとはいえません
 様々な可能性を想定した上で、自分の仕事上の責任や、家族の事を考慮され最終決定する事が重要と思います
 


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 なにか強迫観念に圧迫されて、ムリして行くのはハッキリ違うといえます
 自己満足や達成感を求めて行っても、その途方のなさにあっさり打ちのめされます
 私が半ばそれなので、こんなこと言える立場ではなくお恥ずかしい限りなのですが、そんな心情もあり当初はこのような記事を書くつもりもありませんでした
 しかし現地で世話役の方とお話した際、「これからまだまだ長くかかります。せっかく軌道に乗ってきたボランティアの流れが途切れないようにするためにも帰ったらどうかこの運動を広めてください」と言われ、気持ちを改めました次第です
 でもその世話役の方も「みんな被災地に来て」という意味で言っているのではないはずです。その場所、個人、団体でできることを続けてゆきましょう、という事だと思うのです

 いろいろ生意気なことも書きましたが、そう間違った事は書いていないと思いますので、よろしければどうぞ一つの考えとして参考になさってください
 そして重ねて言いますが、決してこれが平凡ないち個人にできる最良の復興支援方法だとは思っておりません
 募金や献血、物資を送る、情報を精査し正確な情報を伝える、被災地の生産物を消費する。
 そして「普通に生活し、経済をまわす」なども、かなり有益な支援方法だと思います

 何より一番の復興支援は「忘れず、行動し続ける」ことであると考えます
 
 みなで、それぞれに良いと思う方法で、続けてゆきましょう! 

 *記事の中に間違いや問題、変化した状況などがありましたら、どうぞご指摘/ご教授ください
 




2011年4月29日 オグリヒデト